性同一障害だったマイクとの思い出 #1
http://diary.note.ne.jp/32228/20031116

バブルが弾けてだいぶ経つ。夜の10時過ぎになると会社も静かだ。一昔前まではみんな遅くまで残業してたのに。山田部長と私は明日の出張の準備をしていた。やっと終わり山田部長が「飯でも食べて帰ろう」と言ってくれた。

山田部長「唯ちゃんは何が食べたい?」

レイコ「うーん、山田部長の手料理♪」

山田部長「うぉっほっほっほ(笑)・・・・(そして沈黙)」 (おっさん冗談に決まってんだろ)
「寿司でも食べに行こうか?(関西アクセント)」

レイコ「はぁーい」(やったぁ)

連れって行ってくれたけど結構早く閉まる店が多くて空振りだった。焦る山田部長を見て私が「駅前の蕎麦屋にしましょう」と言って救ってあげた。ついでに山田部長の財布も?(やな女)

蕎麦を食べながら、山田部長がマイクの休暇を取る話しをしてくる。そしてマイクが良く働いてくれて助かると言ってた。だから休暇が取れたんだね。良かったねマイク! と、喜びながらも、マイクはこの出張で女になるんだ・・・山田部長は知らないんだろうな・・・そう思うと気持ちは複雑だった。

そして一ヶ月後、マイクが一人遅れて出張先の某アジアから帰ってきた。見た目、いつも通りの恐おもてのオヤジだった。そして山田部長が会議で席を外した時に、待ってましたとばかりにマイクが話しはじめた。手術は大成功。先ずはこの写真を見てと言ってまた写真屋のアルバムを渡した。よく見るとこれって会社の印刷屋で現像してるんじゃん。

写真は、病院のベットで疲れた様子のマイクや看護婦さんとツーショットで微笑んでいるマイク等など、やっぱり手術したんだねと納得させる証しだった。看護婦さんは性転換の患者に慣れていて、術後のマイクの体もそうだが心のケアもしてくれたそうだ。マイクは心から「いい看護婦さんに巡り合えて良かった」と言っていた。訳アリ手術だけど、手術は手術、それも海外で見舞い客も無く、ずーっと一人で心細かったんだと思う。

体が回復してから、ソーニャ(マイクの女の名前)の姿で(もう体も女だから女装じゃないしね)現地のバーに行ったら、ドイツ人の男性観光客にナンパされたそうだ。マイクは嬉しそうに話してくれた。

レイコ「で、その人にバージンあげたんだ?」

マイク「そんなんじゃないわよー。一杯ご馳走になっただけよ(照れている)まだそこまで回復してないしねぇー」

レイコ「でもいづれは誰かにバージンあげるんでしょ?」

マイク「うーん、どうなんだろう・・・」

男性とセックスすることに余り興味がなさそうな雰囲気だった。

マイクの奥さんは、マイクが一ヶ月某国へ行っていた間一人で日本にいても退屈なのでイギリスに帰国した。

マイクの爪を気にする人なんて私以外にいないから、マイクは堂々と長い付け爪で仕事している。さすがに色は付いてないけど。週末はネイルサロンでネイルアートをして、月曜日の朝、会社に行くから落とす。

ある月曜日の朝、「レイコにも見て欲しいから」とネイルアートのまま出勤して来た。

レイコ「わぁーすごくキレイ。こんなにキレイなのに週末しか出来ないなんて残念だね。つーかお金がもったいない。いいなぁ毎週行けてーー」

マイクは私の賞賛や羨ましい声に満足している様子だった。(やっぱり女ね)しかし仕事も始まるから、お手洗いに行って色を落としに行った。

女の体になってから、ますます女ライフを充実しているようだった。奥さんも居ないしね。仕事が終わって家に帰るとソーニャになって寛ぐ。セクシーな下着やパジャマも出張先で沢山買って来た。

マイクは外人社員仲間にも本当の事を打ち明けている。ある夜、仲間の一人とディナーに行く約束をしてソーニャの姿でその人のアパートに行ったら、マイクの姿を見て「ごめん、キャンセルして」と言われたらしい。「仕方ないわよね」みたいな事を言ってたけど寂しそうだった。

ある日、「レイコはいいなロングヘアーで」とマイクが言ってきた。マイクは薄い剥げで、ソーニャになる時は、ボブのカツラを被っていた。私が「ロングのカツラにすればいいじゃん」と当然のように言うと「はぁー(分かってないわねアンタみたいな溜め息)オバサンのロングヘアーなんて見たことないでしょ」と言われた。「まぁ確かに・・・」

★ つづく ★



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唯

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