長い一日だった、感謝祭

夫の要望で朝食にベーコン、パンケーキ、スクランブルエッグを作る。普段、朝食なんて作らないけど今日は感謝祭と言うことで、夫もアメリカの家族っぽい雰囲気が欲しかったみたい。

その後、油っこい朝食のせいで胃もたれした。夫は全然平気。これから義理父の家でディナーに呼ばれているから、食べられないと失礼かなと思って、思い切って指を突っ込んで吐いた。すっきり。（健気）

義理父と奥さん（二人は再婚夫婦）の家に行くと、八月にフランス人と結婚したキャリアウーマン夫婦も来ていた。彼女は妊娠4ヵ月。双子でお腹も大きい。早いよねぇ。

義理姉家族も既に着いていた。彼女の夫は娘と二人で仲良く絵本を読んでいた。あれ、義理姉は？と探すと義理姉はフランス人の若ダンナと話しに夢中な様子だった。

ディナーはみんなで和気あいあいとおしゃべりしながら、いい雰囲気だった。義理父の奥さんは、すごい気配り屋さんで話さない人がいると話しを振ってあげたり、特に英語が母国語じゃない私にも発言出来るように場を作ってくれる。こんな気配りな人、アメリカで見たことない。

食事も終わったところで、義理姉家族はデザートは義理姉の夫の両親家族と取るからと帰って行った。義理姉は本当は御主人の御両親の所には行きたくないみたいだった。私に限らず、義理の親なんて何処もかったるい相手なんだね。

デザートまでに、奥さんと後かだつけをした。奥さんは「残ったの好きなだけ持って帰って」と言ってタッパーまでくれた。私が持って帰れる量は、大量に残ったのを助ける程まではいかない。奥さんが沢山作ってくれたのに、大量に残った皿を見ると、ちょっと悲しくなる。でも品数はいいとして、一つ一つの量が多すぎるから残ったんだよね。去年は義理姉がタッパー持参で大量にお持ち帰りしたんだけどね。今日は”早退”したし。

フランス人の若ダンナは日本映画が好きで私に色々と話しかけてくる。黒沢明監督の息子さんも映画を作っているみたい。「へぇー」知らなかったよ。北野たけしの映画が特に好きで、座頭市ってリメイクなんだよねの話しになって、私が「小さい頃、父親が酔っ払うと真似してたよ」と話すとウケてた。

彼は三島幸夫も好きで、私も好きで本持っているよと話しになり、「豊饒の海」の輪廻転生の講釈をこの私がしてるし。まぁー他に日本人いないしね。

義理父がコーヒー飲む？と言ってコーヒーのカップを配ってくれていた。若ダンナは要らないって言っているのに義理父が置いていった。私が「アメリカのコーヒーって水っぽいでしょ？」って言ったら、大きく頷いていた。濃さが違うんだよね。デザートも甘すぎてパスしていた。あぁ分かるよ。

手持ちぶさの彼は急に立ち上がってどこかに消えてったら、コニャックを持って現れた。私にも勧めてくれて「私が飲んでいる安物とは味が違って美味しい」と言ったら、「ナポレオン」だった。以前、自分で義理父に持って来て上げたのを思い出したみたい。私が「今日、日本酒持って来たからあるよ」と教えてあげたら、「早く言ってよ」みたいに言われて日本酒も好きだそうだ。私がばっっと自分のグラスに注いだらみんな驚いていた。「これってウォッカじゃないから、大丈夫だよ（苦笑）」無色だときついイメージがあるみたい。その日本酒はオシャレな瓶に入っていて、味も甘口で結構美味しかった。（今度、自分用に買おう）他の人達も飲み易いと言って日本酒を飲んでくれた。

デザートの時の会話は、ブッシュが感謝祭に極秘にイラクにスピーチしに行ったこと。今朝、私が「絶対、自分が始めた戦争で自分だけ感謝祭にホワイトハウスでぬくぬくしているのがバツが悪いから、人気回復に行ったのに決まってるよ」と夫相手に吐いていた。その席でも、みんな人気回復の為だねと言っていた。同じアメリカ人からにもそう思われてるんだね。他のゲストの御夫婦の息子が年明けにイラクに行くので、その奥さんは話していて泣きそうだった。

夫は一人って言うか、一匹で留守番している犬が心配で「もう、帰ろう」と催促してくる。「オシッコ我慢しているかもしれないから、可哀相だよ」と言うから「犬も何とか一人でやってるよ。大丈夫だよ」と言っても聞かないし。だから帰ることにした。

帰宅すると、犬はすごく喉が乾いてたみたいで、水を何度もお替りした。夫は犬が大好きな御褒美用のベーコンを上げて、犬とじゃれ合っている。（そうやって特別扱いするから犬が留守番に慣れないんだよね）夫が犬と散歩に出かけ、その後に車でコンビニまで牛乳を買いに行った。もちろんドライブ好きな犬も連れて。

寝る前に夫が「レイコ、クリーム塗って」と私に世話を焼かせようとするから、「今夜は酔ってるし、散歩の後あなたに先にシャワーを浴びて貰おうと待ってたら、牛乳買いに行くし、私がシャワー浴びるの待たされて、これから浴びるんだよ。（夫は先に浴びた）その後、お肌のお手入れして、髪の毛をドライヤーで乾かして、（ロングだから時間がかかる）体にボディーローション塗ってと忙しいから、出来ないよ！」と言った。

酔っているから、自分の世話で手が一杯だし、本当は早く寝たいからどれかスキップしたいけど、どれも抜かす事はできない。

夫はすねて犬を自分の毛布に入れて一緒に寝た。私がシャワーから出ると、「レイコ大変！カスターにオシッコされた！」内心、やっぱりと思った。これってカスターの確信犯だね。リベンジされたんだよ。ウチの犬って不当な扱いをされた後って絶対お返しするんだよねぇ。「このビッチ！」と悪態を付いても、本当に牝犬だし。

もう、文句も言わずに水を吸い取る掃除機でベッドのマットを掃除した。はぁ・・・。夜中の12時過ぎだよ。

被害は夫側だったので私側は大丈夫。夫はリビングのソファーで寝ることになった。あんなに人一倍、カスターのことを心配して愛情をかけてたのに復讐されるなんて、夫も可哀相だよね。